不器用なのはお互い様







「はぁぁぁ・・・・・・・・・」





私って・・・私って・・・

ほんっっっっっっっと・・・大事なとこでっ・・・馬鹿なんだから・・・っ!!!





「・・・・どぉおおおしよぉぉおぉおおおお・・・・・・」





選択ミスだコレ・・・・・・

折角買ったけど・・・絶対必要ないわコレ・・・・・・





「うあぁぁぁああぁぁぁぁぁあああ・・・・・・・死にたいぃぃぃぃぃいいいい・・・」

「・・・・・・ちゃん大丈夫?さっきから唸ってるけど・・・それに死にたいって言わなかった?今・・・」




書庫で一人、うずくまって床をダンダンしている私に声をかけてきたのは・・・

失礼かもしれないけど書庫という場所があまり似合わない、リーゼントがイカす四番隊隊長サッチさん





「うぅっ・・・サッチさん・・・」

「落ち込んでるようだけど・・・悩み事?おれでよかったら相談乗るよ?」




サッチさんなんて素敵なの・・・!!!

なんでこんな書庫にサッチさんがいるのか不思議だけどっ・・・




もうそんなことどうでもいい!!サッチさん紳士!!

でも・・・・・・





「・・・・・・サッチさん・・・・・・」

「ん?」





「今日・・・・・・島に着いたりしませんよね・・・・・・」





そぉっとサッチさんの顔を覗き込むように見ながら聞くと、案の定ポカンとした顔だった

うん・・・無理もない・・・





「そりゃー・・・ちょっと無理かなぁーー・・・」

「あ、ははっ!で、ですよね!この間島出たばっかりですもんね!わ、私ったらホント・・・」




苦笑しながら答えるサッチさんに、慌てて答える

こんなに早く次の島に着くなんてそんなばかな事は起きない




そんなことが分からない程、私の航海の経験も浅くない

だけど、今回ばかりは奇跡起きないかなって思ってしまった




「なんか、必要な物でも買い忘れたのかい?」

「い、いやぁ〜・・・その・・・実は・・・」




きょろきょろと周りを見渡して、ここに私とサッチさんの二人だけということを確認する

それからコソッとサッチさんに耳打ちする




「今日って・・・エース隊長のお誕生日ですよね・・・」

「あぁ、そうだなあ。今日はエースの奴に浴びる程酒を・・・あ、もしかしてちゃんが気にしてるのって・・・プレゼントの事?」




おお、サッチさん・・・鋭い

じゃなくて




「実は・・・前の島を出るその前日まで・・・エース隊長の誕生日の事知らなくて・・・」

「ははあ・・・それで買えなかった・・・とか?」




「いえ・・・一応買ったは買ったんですが・・・物が物でして・・・」

「ふぅん・・・何買ったの?」




後ろに置いておいた包みをそろそろと開ける

そこから取り出した布をバッと広げてサッチさんに見せた




「へェ!かっこいいシャツじゃん!赤いし、アイツにピッタリじゃねェ?エースもよろこ・・・」

「わーっ!わーっ!サッチさんちょっと声大きいです!!」




急いでサッチさんの口を両手で塞いだ

よ、よし、なんとかセーフなはず・・・




「っととと・・・ごめんよ?つい・・・で、それがプレゼントでしょ?おれはいいと思うけど・・・何か問題あるの?」

「大アリですよ・・・よく考えてみてください・・・エース隊長・・・・・・いつもどんな格好してます?」




「半ズボンと・・・・・・帽子・・・だな」

「そうなんですよ・・・!普段上半身着てるとこなんて全く見ないですよね・・・!!」




そう

二番隊のエース隊長は何故か上半身を着ない




よくよく考えれば上半身ちゃんと服着てる人ってあんまり見たことない

マルコ隊長も一応服は着てるけど前開けてるし・・・



オヤジさんも・・・

エース隊長なんて・・・




・・・もしかして





「男の人って肌・・・というより、筋肉・・・?を晒すのが好きなんですか?」

「うーーーん・・・人によるよねー・・・イゾウとかちゃんと着てるし」




お、おお・・・割と真面目な答えが返ってきた・・・

そうだよね・・・人によるよね・・・



アレか・・・出してる人は露出狂とかそんな・・・

いやいやそんな事は・・・あの人たちに限ってそんなね・・・




「で、ちゃんは、エースはいつも上半身裸なのにプレゼントにシャツを買ってしまったと・・・それで悩んでるって事でいいかい?」

「あ、はい・・・そういう事です・・・」




いやね、私もね、ちゃんと考えて買おうって思ったの

だけどね、教えてもらったのが島を出港する前日だったからね、バタバタしてね、考える時間がなかったの




それでね、なんとか買えた!って思って、船に戻って、寝支度してて、ふと思ったの

上半身いつも着てないエース隊長にシャツ




やらかしたと、思った





「でも多分着てくれるんじゃねェ?エース」

「えっ・・・なんでそんな事言えるんですか・・・」




「なんでって・・・えっ」

「えっ」




え?うん?どゆこと?

んんん??




「・・・・・・気付いてないのか・・・・・・」

「え?何か言いました?」



「いや何も?エースも大変だなってね」

「そっそんな事言わないでくださいよォォっ・・・選択ミスは私が一番分かってますからっ・・・」




サッチさん酷い!!

そんなハッキリ言わなくても!!!




私だって!!私だって!!!ちゃんと選べるものなら選んでましたよ!!!

仕方なかったんですよ!!!




「そっちの事じゃねェんだけど・・・まァ、エースは優しいからな、そんなに気に病む事ねェよ」

「はァ・・・もういいです・・・所詮私は別部隊の雑用係なんですから・・・貰っても意味ないですよ・・・・・・」




「だ、大丈夫だって!!おれがなんとか言っといてやるから!!」

「うぅ・・・」




頭を下げてしょげた私の肩に勢いよく腕を乗せて慰めてくれるサッチさん

うう・・・痛いけどやっぱり優しい・・・




「とにかく、早まったマネだけはすんなよ?折角買ったんだから捨てたりなんか・・・」

「はい・・・」




うーん・・・まァ・・・買ってから間もない新品を捨てるなんてそんな事私にはできないけど・・・

うーーーん・・・非常に困った




・・・かくなる上は・・・




『ごめんなさい!買い忘れちゃってましたっ!』





・・・よし、これで行こう

どうせエース隊長も隊の人やナースさん達にもらって、プレゼントなんて有り余るだろう・・・




私のプレゼントなんて、安っぽい服だし

エース隊長も別に気にしたりなんて・・・




・・・そうだよ

所詮私は雑用係だもん




こんなに大勢いる海賊団の中で、エース隊長が私の事覚えてるなんて事もないと思うし

・・・なんかここまで考えてちょっと自分で傷付いた・・・




いやいやいや!

今日は折角のエース隊長の誕生日!!




そうだ!宴の準備のお手伝いしよう!

行く途中で自室に戻って、このプレゼントになる予定だった服を置いて行こう!





「ありがとうございました、サッチさん・・・私!宴の準備のお手伝いしてきます!」

ちゃん・・・・・・おう!元気出たみてェでおれも安心したよ。行ってらっしゃーい!」





一瞬、サッチさんが切なそうな顔をしたけど、多分気のせい

































――次の日――






「昨日の宴は凄かったない」

「そうですね〜私も早々に酔っちゃいましたよ!久々に飲みすぎて二日酔いです」




宴が終わって、皆が甲板で寝っころがって

皆ポツポツと起き始めた頃




私も目が覚めて、食堂へ水を飲みに行こうと思ったところにマルコ隊長とバッタリ会った

そのまま何故か食堂のテーブルに向かい合う形で座って、昨日の宴の話になった




・・・ホントになぜ!?

私はただお水飲みに来ただけなのに・・・




正直・・・マルコ隊長ってちょっと苦手・・・

サッチさんはよく話しかけてきてくれるから慣れてるけど・・・




マルコ隊長と話したことなんて数える程くらいしかないと思うんだけど!!

いや、もしかしたら数える程もないかもしれない・・・!!




そんな事を考えていたら余計に頭が痛くなった




「大丈夫かよい。そういやお前は普段からあんまり酒は飲まねェ方だったか?」

「えっ?そ、そうですけど・・・よくご存知ですね・・・私なんかのこと・・・」




「よく教えてくれる奴がいるんだよい」

「へェ・・・そうなんですか・・・」




サッチさんかな?うん、多分サッチさん

マルコ隊長と仲良しかつ私の事知ってるって言ったら・・・うん、サッチさんだ





「サッチさん、意外と人見てるんですね」

「あァ?サッチ?サッチがどうかしたのかよい」




「えっ?さっきの、『よく教えてくれる奴』ってサッチさんの事じゃ・・・」

「はァ?」




え?いや、はァ?じゃなくて・・・っていうか、こ、怖い・・・

えっ?どういう事?違うの?




「さ、サッチさんじゃないんですか?」

「誰がサッチって言ったよい・・・こりゃアイツも大変だな・・・」




「え?アイツ・・・?って誰ですか?」

「・・・・・・ま、今のは気にしねェでくれい」




「あ、は、はい」




何だろう、今のどっかで似たようなことした記憶が・・・

気のせいかな・・・




あ、だめだ頭痛い・・・

コップに入れてたお水をゆっくり飲む





ん?あのテンガロンハットは・・・

エース隊長だ・・・・・・





カッコいいなァ・・・

イケメンって何着てもカッコいいからズルい




さっきからキョロキョロしてるけど、誰か探してるのかな?

お出かけかな・・・シャツなんか着ちゃってまー・・・















!!!!???






「ブフッ!!!!」

「うわっ!!きったねェよい!いきなり何だ!!!」




「ごごごっごめんなさいっ!!い、いいい今幻覚がっ・・・」





ちょっちょっちょっ!?

今幻覚見えちゃった!!?




エース隊長が上半身裸じゃないなんてそんなっ・・・

びっくりしすぎて飲んでたお水吹き出しちゃったよ!!




ほんとごめんなさいマルコ隊長!!!!

あとでちゃんと心を込めてお洗濯させていただきます!!!




それにしても・・・

アレ・・・本当にエース隊長・・・だったのかな・・・




見間違いなんて事あるかもしれないしっ・・・

確認のためもう一回確認のために・・・







・・・・・・・・・

・・・・・・・・・






うん、やっぱりエース隊長だ

なんで服着てるのかな・・・前は開けてるけど・・・





再びコップに口を付けながら考える

なぜあのエース隊長が・・・




珍しく・・・上半身に服を・・・

あ、もしかして昨日誰かから貰ったプレゼントかな?




うんうん、十中八九そうだ

それにしても、あのシャツのデザインどこかで・・・











!!!!!





「ゲフッ!!!!」

「っ!!!おい!!!なんかおれに恨みでもあんのかよい!!!」




「ちちちちち違います!!!!断じて!!!!恨みなんて全く!!!!むしろ尊敬してます!!!!」





ヒィィィィィ!!!

マルコ隊長超怖い!!!!!




完全に私が悪いけど!!!!!






「お前本当に大丈夫か?さっきからおかしいよい」

「た・・・多分大丈夫です・・・ホント・・・ごめんなさい・・・」




落ち着け私

・・・よし、ゆっくり考えよう




まずなんでエース隊長があのシャツを・・・

確か、あれはプレゼントとして買ったけどどうしようもないことに気が付いて、部屋に置いてたはず




もちろん渡した記憶はない

でもあの赤いシャツ・・・私が選んだ服だ・・・





どういうこと・・・

ハッ!!もしかしてサッチさん!?





いやいやいや!!

あの人は勝手に私の部屋入るような人じゃないし!!




じゃあなぜ・・・




「ん?エースじゃねェかよい」

「あ?よォ、マルコじゃねェか・・・あ!!!!なんだ一緒にいたのか!」




マルコ隊長が呼ぶと、エース隊長はすぐ近くまで来た





「マルコお前・・・なんで服濡れてんだ?」

「コイツのせいだよい・・・」




「そ、そうか」





うん、服着てるエース隊長なんてそうそう見れるものじゃないからしっかり目に・・・

そうじゃなくて!!!





「あ、あの!エース隊長!」





喋ってる!私、滅多に喋った事ない憧れのエース隊長と今!

喋ってるよ!!





「そ、そそそのお洋服!どうされたんですか!?」




マルコ隊長とエース隊長は、何言ってんだコイツって顔してるけど

それ・・・私買ったヤツだもの・・・




「どうって・・・お前がくれたんじゃねェか、昨日」

「く、くれた?私がっ?」




「飲みすぎて記憶吹っ飛んじまったのかよい」

「そんな馬鹿なっ・・・」




「普通に渡されたんだろ?・・・なァ、エース」

「おう」





ウソ!?私そんな記憶なくなるまで飲んだの!?

そんなことない!!ちゃんと昨夜は・・・




・・・・・あれ・・・

思い出せない・・・・・・




でも起きた時は自室のベッドだったから・・・





「昨日・・・何があったんですか・・・?」




とりあえず聞いてみる

当然覚えてるって顔してるから聞いてみる




「昨日?昨日はお前が飲みすぎてエースに部屋まで運んでもらっただろい。そっからは知らねェが」

「微妙なとこで区切んじゃねェ!!おれは何もしてねェ!!!」




「事実だよい」

「ってことは、私・・・エース隊長に部屋まで運んでもらったんですか・・・!!?」




「さっきからそう言ってるよい」





ぎゃぁあああああああ!!

どどどどどどうしよう!!!!




まさかまさか昨日の主役のエース隊長に部屋まで・・・!!!

嬉しいっ・・・!!!





違う!!!そうじゃない!!!

隊長格の人の手を煩わせるなんて!!!!




なんという・・・!!!





「ほんっっっっっとうにすみませんでした!!!!重かったですよね!!!!!ごめんなさい!!!」

「いや、別に、気にすんな・・・」





気にします・・・

ああもう自殺したい・・・




「で、その後どうしたんだ?おれも聞きてェよい」

「あァ、それから・・・・・・渡された。プレゼント・・・おい、大丈夫か





うおぉぉぉぉぉぉぉ・・・

しかも昼間にサッチさんにあんなに泣きついてたのに普通に渡しちゃったの!?




馬鹿じゃん私!!

ここまで来ると馬鹿の極みじゃん!!!




目の前で頭を抱えてる私に対してエース隊長が声かけてきた

うっ・・・穴があったら入りたいです





「いや・・・あの・・・普段上半身着ないのに・・・そんな物贈ってしまって・・・申し訳ないです・・・す、捨てちゃってください・・・」

「何言ってんだ?おれ、これ結構気に入ってんのに・・・」





・・・えっ?

その言葉を聞いて、顔をバッと上げる




う・・・わ・・・・・・

真正面で、しかもこんな間近からエース隊長見るの初めてかも・・・





「捨てるなんてもったいねェことするかよ。誕生日プレゼントなのによ」

「・・・・・・」




エース隊長・・・素敵だ

こんなに綺麗な顔でこんなに優しかったら、モテるわけだよ・・・





「あ、そうだ思い出した!!お前、次の島着いたら一緒にメシ食いに行こう!」

「へ?」





唐突な事すぎて変な声出てしまった

え?今、なんて・・・





「あーその、なんだ・・・そうだっ・・・これ!このシャツ貰った礼だ!!」

「えっ?で、でも、それ、」





「あ!も、もし嫌だったらいいんだ!!」

「えっ!?そ、そんな嫌だなんてっ・・・」





「なんで誕生日のプレゼントに礼するんだよい・・・」





隅っこでボソッとマルコ隊長が呟いた

そうですよ・・・まずなんで私と食事!?




これは夢!!?




「じゃ、じゃあ、いいんだな!?行っても!!」

「で、ですが、どうして私と・・・?他の人からもプレゼントいっぱい頂いたんじゃ・・・」





そういうと、エース隊長は乱暴に頭をガシガシ掻きながら答えた





「お、おれさ、からプレゼント貰ったのに、の事知らないなって思ってよ・・・」

「・・・・・・」




「だ、だから、の事、もっと教えてくれよ!」

「・・・・・・」




「だ、ダメか・・・?」




無言でポカンとしている私を不審に思ったのか、少しショボンとした顔で私の顔を覗き込む

こ・・・これは夢だ・・・




こんな・・・こんな美味しいことが起きるなんて・・・

エース隊長とお近付きになれるチャンスの夢・・・!!!!




夢って録画できないよね・・・

なんでこんな夢・・・お酒の力?




・・・お酒の力ってすご





「おい、マジで大丈夫かよい」

「いっ痛っ!!ま、マリュコたひちょう!い、いらいれす!!」





夢だと思って一人うんうんと頷いているとマルコ隊長に頬をつねられた

めちゃくちゃ痛い




あれ?でも・・・夢が覚めない

・・・ということは・・・?




「あれ・・・これって夢じゃない・・・です?」

「現実だよい。しっかりしろい」




「じゃ、じゃあこのお誘いも・・・?」

「現実だよい」





・・・・・・

あ・・・意外と私冷静なんだ・・・




パニック通り越して冷静になった・・・





「ご、ごめんなさい。あまりに唐突すぎて夢かと・・・」

「いや、いいんだ!確かに唐突すぎたよな・・・!」




なんか隣でマルコ隊長がニヤニヤしてる

な、なんですかっ・・・その顔やめてくださいっ・・・




「で、はどうなんだよい。行くのか?」

「おっおいマルコ!今唐突すぎるって言ってただろ・・・!考える時間を・・・」




「あっ、わ、私、もっ行きたいです・・・」





うわぁああああああ言っちゃった!!!!

つい本音が!!!ぽろっとっ・・・!!!



しかもめちゃめちゃどもっちゃった・・・!!!!




「ほ、ほんとか?」

「え、あ、わ、たしで良ければ・・・」




し、心臓がうるさい・・・

口から出てきそう・・・




「・・・・・・」

「・・・・・・」




沈黙が辛い・・・

どうしよう・・・何か言うべきなのかな・・・




そう一人で考えていると、エース隊長の顔がパッと明るくなった




「よし!じゃ、決まりだな!!次の島には、明後日の朝着くらしいからな!!」




ほ、本当に・・・

エース隊長と・・・食事・・・!!




夢みたい・・・

現実だよいってマルコ隊長に二回言われたけどっ・・・




凄く嬉しい!!

楽しみ!!!




「は、はいっ!!明後日、楽しみにしてま、」

「随分とごきげんじゃねェか、





・・・今度幻聴が





「明後日、なんかあるのか?」

「イ・・・イゾウ隊長・・・」




ポン、と私の肩に置く白い手を辿れば、そこには私の所属している16番隊のイゾウ隊長の麗しいお姿が

ああ、今日も美人です




辺りをぐるっと見るイゾウ隊長

マルコ隊長はあーあという顔、エース隊長はゲッという感じの顔




私は絶望の顔

だってイゾウ隊長・・・ドSで鬼畜なんだもの・・・





「ふゥーん・・・へェ・・・なるほど・・・」




今の状態だけで状況を把握しているんだろうな・・・

流石隊長格・・・だけど!!



タイミング悪すぎる・・・!!!

そんな私を見え透いてか、肩に腕を回すイゾウ隊長



それから、楽しそうにわざと申し訳ないような口調で言う




「悪いなァエース、16番隊は今日の昼から任務で船にいねェんだ」





「はァ!?」

「えェ!?」





私とエース隊長の驚きの声が重なった

遠征の任務なんて・・・入ってなかったよ・・・?




「イゾウ隊長・・・私、それ初耳なんですけど・・・」

「当然だろう?今初めて言ったんだ」




・・・・あ

そですか・・・・




「ひ、日帰りですか?」

「んなわけねェだろ。最低でもまァ一ヵ月ってとこか」




長いーーーーーー!!!!

いつもは早くて十日くらいなのに、なんで一ヵ月!!?




イゾウ隊長なんでそんなに楽しそうなんですか!!

私の楽しみ返して下さい!!!




「というわけだエース。一ヵ月大人しくしてろよ?一ヵ月の間に他の女に手ェ出したらもうチャンスねェと思えよ」

「あ!ちょっおいイゾウ!」



そんな私をよそにイゾウ隊長がエース隊長に耳打ちしたけど、私には聞こえそうで聞こえなかった




「じゃーなァ」

「ぎゃあああ痛い痛いです!!ちゃんと自分で歩けます!!首根っこ引っ掴まないでください!!!」



あぁぁぁぁぁぁ・・・

私の・・・人生の・・・最高の瞬間が・・・





このっ・・・腹黒!ドS!鬼畜!まだ首根っこ引っ掴んだままだし!!

なんで私16番隊になっちゃったんだろう・・・!!!




・・・結局言えなかったなー・・・

昨日は速攻酔っちゃったから、ちゃんと言えてないんだよなー・・・




言おうと思ってたのに・・・タイミング逃しちゃった・・・

よし・・・帰ってきたら言おう




お誕生日おめでとうございます!って




エース隊長に出会えて本当に良かった

優しいし、なんていうか・・・素直で可愛いところもあるし・・・




生まれてきてくれて、ありがとう

って、言えたらいいなァ・・・




でも、私まだエース隊長とそんなに仲いいわけじゃないし・・・

・・・ううん、お食事誘ってもらったんだから、そこから少しずつ仲良くなれたらいいなぁ・・・




来年、言えるかな

うん、来年はちゃんとプレゼント渡して、ちゃんとお祝いしよう




そうできるように、私も頑張らないとね




「おい、今他の野郎の事考えてねェか?」

「えっ?い、いやァまさか!!」




「お前、嘘つくの下手だな。図星だろ?いい度胸してんじゃねェか・・・」

「そんな事!や、やだなァ冗談が上手いんですから!」




「ほォう・・・なら今日は、明日の朝までずっと一緒にいようなァ・・・?」

「ひぃぃ!!!」







もう16番隊やだ!!!

















(イゾウも性格悪いよなァ、エースの気持ち知っててよォ)

(サッチ・・・お前どこにいたんだよい)




(ん?そこの棚の陰からずっと見てたぜ?)

(・・・そうかよい)




(まァ、この船で知らねェ奴は・・・本人だけだろうけどなァ)

(声がでけェ。エース本人も周りは知らないと思ってるみたいだよい)




(マジで!?コイツら大丈夫なのか?)

(さァな)













1月1日エース誕作品
UPしたのは1日ではありませんが・・・

マルコになら「きったね!」って言われても平気。むしろもっと言って欲しい
夢主とエースは鈍感・天然・不器用の三拍子揃ってるコンビです

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