お揃い
「じゃあ・・・・やるよ?」
「うん・・・できるだけ優しくしてね・・・!」
「努力はするけど、多分痛いよ?」
「そんなこと言わないでよ!怖くなるでしょ!?今も怖いのに!」
「だって事実だもんなー」
「あぁもう・・・!待ってる時間が怖いから早くして・・・」
「んじゃいっくよー」
「・・・・・」
佐助の手が私の耳に当たる
顔が近い
恥ずかしさと怖さで、私はギュッと目を閉じた
パチン
「・・・・開いたよ」
言われて私は鏡の前へ走った
自分の右耳に、小さな石がついたピアスが開いている
右耳だけ開けた理由は、一気に二つ開けると痛そうだったから
ただでさえ一つでこんなに痛いのに・・・二つ開けられるか!
とりあえず一個で正解だったわ
「・・・・・・・・痛い」
「そりゃあ穴開けるんだから痛いに決まってんでしょ」
「そうだけど・・・あぁー何コレ痛い〜!」
それでも開けたばかりとなると、ついつい触りたくなるもので
心では結構嬉しかったり戸惑いがあったりで複雑な気持ち
そんな心境に浸っていると、佐助は立ち上がって話しかけてきた
「じゃ、いこっか」
「?どこへ?」
「決まってんじゃない。折角開けたんだから買いに行かないと!俺が似合うピアス選んでやるよ」
「でも買ってもすぐには付けれないじゃん。ちゃんと穴が開くまで待たないと」
「選ぶのはいつでもいいだろ?今から選んでもさ」
「そーだけど」
そんなわけで私達はピアスを買いにいくことになった
まだいいとは思うけど、佐助が選んでくれるなら別にいっか!
「何にやにやしてんの」
「べつにー?」
どんなの選んでくれるのかな
「これとかどうよ?」
「う〜ん。なんか思うのと違うんだよねぇ・・・」
こうなることは分かってた
私はこういう買い物とか来るといつもデザインで迷ってしまう性質だった
案の定今日もそう
きっと佐助は呆れてるんじゃないかってぐらいに
「どんなのがいいの?」
「うーん・・・あんまりプラプラしてないのがいいかなぁ〜・・・オーソドックスなのがいいね」
それでもちゃんと付き合ってくれてる佐助が好き
すごい無理矢理今まで付き合せちゃってる感でいっぱいだけどね
「ふーん・・・じゃあこれなんかは?」
「あ、結構好きかも」
佐助が選んだのは黒のピアス
なかなかオーソドックスで私好みだった
「これ気に入った!これにする!」
「あ、そう?気に入った?よかったぁーじゃ、俺様会計してくるねー」
「え?ちょっなんで佐助が会計すんの!私のなんだから私が払うよ!」
「こーいうのは男が買ってやるもんだろ?一応付き合ってるんだし?プレゼントくらいさせてくれてもいーんじゃない?」
「うっ・・・そんなに一気に疑問形使わないでよ」
「まぁまぁ
は店の前で待ってて」
なーんか上手く追い出された気がする
仕方なく私は店の前で待つことにした
意外に、佐助が出てくるのは早かった
多分レジすいてたんだろうな
ところで
「あの・・・なんで一個だけ?ピアスって二つセットで売ってるもんじゃないっけ?」
渡された袋を開けてみると、プラスチックの板にさっきまで二つついてたピアスが、今見ると一つになっていた
明らかに佐助が犯人だろ
「だって
もピアス片方しか開いてないだろ?」
「そうだけど取ることないじゃん・・・ん?“も”」
「あれ?まさか彼氏のピアスの数知らない!?うわーもしかして俺様愛されてない!?」
「え!?あっ、そういえばピアス開いてたね!!ごめん忘れてた!でも数知らないや」
いっぱい開いてそうなイメージあるなぁ
いやでも案外少ない・・・かも
「はぁ〜・・・なんかショック。どうしよっかなぁーこのやり場のない感情」
「ごめんて!えーと・・・見た感じ一個開いてるっぽい・・・・?」
「・・・・・・ま、いっか。俺様も一個開けてるよー左に。・・・ここまでで何が言いたいか理解できた?」
少し膝を折って、私の目線に合わせて聞いてきた
・・・・・・んん?
「まさか・・・分かんない・・・とか?」
「うん」
私が首を傾げると、ちょっとショックな表情で言った
だって分からないんだもの
「鈍感だなー
は・・・・つまりこーゆーこと」
聞き捨てならない言葉が聞こえた気がしたけどスルーしようか
佐助が左耳を見せてきたから
そこには、先程選んだピアスが飾られてある
すごくよく似合ってる
「それ・・・さっき会計した・・・・」
「そ。お互い一個ずつ開いてるんだから、こーいうのもいいだろ?」
「確かにいいじゃんソレ!佐助にしては中々いいアイデア!!」
「だろー?」
傍から見ればただのバカップルだろう
でも嬉しい
「こんなことできるなら、俺様もう一生ピアスは片耳だけでいいや」
「あーじゃあ私もー」
そう言って私達は笑いあった
大好きな人と同じピアス
お揃いのピアス
開けたばっかりだけど、早く付けたいな
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