風と友達





ボクには、幼馴染みがいる

生まれつき体が弱くて、入院している幼馴染み



昔は入院する時間が短くて、退院した後の時間が長かった

でも今はその逆で、入院期間が長くて一緒に遊ぶ時間が短くなった



それに、 自身は言わないけどボクは気付いてる

もう、自分の足で歩くのも辛いってことを



なのに、どうして君は笑顔でいられるの?

それはいいことだと思うけど、落ち込んだりとかしないの?



「ウィンナー、見て!あそこ!綺麗なお花がいっぱい咲いてる!」

「そうだね。・・・悲しく・・・ないの?」


「え?」

「ボク、知ってるよ。 がもう歩くのが辛いってこと・・・ボクだったら、落ち込んで落ち込んでどうしようもなくなっちゃうのに・・・」


「やっぱり、ウィンナーには気付かれてたかー」



ニコッとして が言った

そして、そのまま続けた



「でもね、私だって最初は落ち込んでたよ?何で私なの?って。落ち込みすぎて死のうかと思ったぐらいだよ?」

「えぇっ!し、死なないでよ!?」

「今生きてるじゃん。私が今ここにいれたのは、ウィンナーのおかげなんだよ?」



笑いながら は言った

それにしても、 はボクのおかげで生きてるってどういうことだろう



「まぁ、自分が死にたくなかったってものあるけどね。・・・生きてれば、こうやって景色を見ることも、食事を摂ることも、ウィンナーと喋ることだってでき る」



生きてれば景色も見れて、食事も摂れて、ボクと・・・人と話すことだってできる

そうだ、それって凄いことなんだ



「こーんな素敵なことばっかりなのに、どうして絶望してたんだろうねー私。やっぱり、人間生きてるってことは何よりも凄いことなんだと思うんだ」

「・・・ は偉いね。ちゃんと良い方へ考えてる。ボクには無理かなぁ」

「そんなことないよ!私に出来たんならウィンナーにだってできるって!でも、それは落ち込んでる時期があったから考えられたと思うの。

 ・・・ウィンナーに 絶望なんてさせないように頑張るよ私!」





前半の話の内容は理解できたけど、後半どういう意味なんだろう?



「私ねー、考えたんだー」



いつもと同じ笑顔でボクを見る

いつもと同じ口調でボクに言う



なんの躊躇いもなく



「私、死んだら風になる!」



一瞬、周りの音が消えた気がした

何を言ってるの?



「風になって、ウィンナーの側にずっといるの!朝も昼も夜も!あ、でも寝る時一緒にいたら風邪引いちゃうから・・・悪い奴らが来ないように見張りとか!」



なんで・・・そんなこと言うの?

さっき、生きるって凄いことって言ったじゃないか



「だからね、私がいなくなっても・・・・忘れないでね」

「なんで・・・まるで自分はもうすぐ死ぬみたいなこと言うんだよ・・・」



そう聞くと、 は少し悲しそうな顔をして言った



「私・・・きっともうすぐ死んじゃうから。自分の身体だもん・・・なんとなく分かるんだ」



それを聞いて、ボクは何も言えなかった

何か言わないとって思うんだけど、言えなかった



その日は、それで終わったんだ

ボクは、今になってそれを後悔してる



は、その三日後に息を引き取った

綺麗な顔で微笑んでいたのを覚えてる



神様はいじわるだ

どうして だったの?どうして を選んだの?



今更言ってももう遅いけど、やっぱり考えてしまう

でも、 はボクの側にいてくれるって言ってた



風になって、一緒にいてくれるって言ってた

なら、ボクは を信じよう



風は、ボクの友達だから











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