事故に遭った

もう、どれくらい経ったかも忘れてしまったけど





利用価値



だんだん体が言う事を聞いてくれなくなってる




毎日のように、家族や友達がお見舞いに来てくれる

その度に励ましてくれる



それで十分

これ以上求めたらダメ







「事故に遭って入院したんだって?」





ベッドで横になっていた私に声をかけたのは

私が一番会いたくなかった相手だった




「臨也・・・!な・・んで・・・」

「それはこっちのセリフだよ。何で連絡してくれなかったの。買い出しに行ってから何日も戻らないから、心配したよ」




連絡し忘れたわけじゃない

連絡しなかったんだ



だって・・・こんな体じゃ助手なんてできっこない




「まさか、このまま黙って会わないつもりだったの?」

「・・・もう、臨也の役に立てないから・・・」




喉の奥がツンと痛くなった

すごく惨めで、悔しい



「もうね・・・体が思う様に動かないの。だから・・・もう臨也の下で働けない」

「それで黙って俺の前から消えようと思った・・・」



その通り

だから、私は黙って頷いた





「だって、動けない私なんて・・・臨也にとってなんの利用価値もないから。だからね、私は臨也に会わないって・・・決めたんだよ」





会ったら泣いちゃうって思ったから




臨也が来てからずっと、私は俯いてる

臨也の方へは、部屋に入って来た時だけ目を合わせた





「そんなの俺が許さないよ」





一瞬、怖くなった

臨也の声が、いつもより低くて、ちょっと怒気が入ってたから




「動かないからって人間は人間だろ?俺の下にいた人間をみすみす手放す俺だと思ってるの?」

「・・・だから黙ってたかったの」




私は俯いたままそっぽ向いた

すると、手が私の顎をつかんで、私の顔を無理矢理上げた



当然、目も合う

でも、私は瞳を横にずらして目を合わせなかった



こんな自分を見られたくないから





「なんで目、逸らすの?ちゃんと俺を見てよ」

「・・・いや」




できない

したいけど、できない




「だって・・・もう自分一人じゃ何も出来ない身体だよ・・・?周りの人が普通にしてることが出来ないなんて・・・だから・・・」




別れる

そう言おうとした時





「別れるなんて言うのも許さないよ」

「でもそれじゃあ迷惑かけちゃう・・・」

「要するに俺がいつも一緒にいれば問題ないだろ?」

「え・・・?」



一瞬、意味が分からなくて臨也の方を反射的に見た

目が合った


臨也は、今までに見たことないような、優しい笑顔をしていた



「俺が一生、 のそばにいるよ。俺が を守ってあげる」

「臨也・・・!」





信じられなかった

そんなことを言われるなんて、思ってもみなかった



強情な女だと、呆れられて終わりだと思ってた

それでいいと、覚悟していたのに



臨也は、それでもいいと言ってくれてる



私も・・・臨也と離れたくたかった

その言葉を・・・信じていいのなら・・・



私はその言葉に、甘えたい




「ほんとに・・・?こんな身体になっても、側にいてくれるの・・・?」

「当然だろ?俺にとって の場合、利用できるできないの問題じゃないからね」

「・・・嬉しい」



本当に嬉しい

こんなになっても、側においてくれる臨也に感謝だ



「じゃあ、退院したらすぐ婚姻届出そうよ」

「は?え?なんで?」

「なんでって・・・俺のプロポーズ受けてくれたじゃない」

「・・・ちょっ・・・まさか・・・そういう意味だったの!?」

「気付いてなかったの?まぁだからといってキャンセルは受け付けないから。じゃ、退院楽しみにしてるよ」





そう言うと、臨也は病室を出て行ってしまった




「そんな急な・・・」





当然驚いてる自分がいる

でも、否定する自分はいなかった





入院してから、退院が楽しみだなんて思ったことなかった

早く退院したいなぁ



















あとがきっぽいもの

事故に遭って、もう臨也の仕事の助手が出来ない・・・
って悲しんでる夢主
じゃあもう会わないでどこかへ行っちゃおうと思ってたとこへ臨也登場

夢主と臨也は一応恋人関係
臨也のことだから夢主に執着すると思うんだ
で、流れでプロポーズになっちゃった☆みたいな

最後は元気になった夢主といちゃいちゃしてたらいいよねってことで


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