ねぇ



これでもう逃げ場はないよ?



もうちょっと楽しみたかったなぁ



・・・・まだ足掻いてみせる?






息づく





・・・・・・・・



今見てるこの景色は何?

これは一体なんのいたずら?


誰がこんな性質の悪いいたずらをしたの?

・・・臨也・・・なの・・・?


ねぇ・・・


なんで皆みんな、五体がバラバラなの?



お母さん?

お父さん?


叔父さんに叔母さんもいる

従兄弟も


親戚の皆も

友達までも



「俺のパフォーマンスはどう?気に入った?」



陽気な声が聞こえる

うるさい



「なかなか大変だったよ〜。それ全部バラバラにするの」



うるさい



「でも驚いたね・・・。がこれを見て何も叫ばなかったなんて」



うるさい

どこかへ行って



のことは俺が面倒見ることになってるからね」



そうか

相手がどこかへ行かなければ



相手をこの場で消せばいいんだ



「・・・ん?おーおー包丁なんて怖いもの持って来るねぇ」



台所から取ってきた包丁を見て臨也が言った

自分だって護身用のナイフ、チラつかせてるくせに



「臨也がやったんでしょ?死んで?」

「それは嫌だなぁ。でも、に殺されるなら本望かもね」

「じゃあ大人しく殺されて」



その喋り方が嫌い

その口黙らせてやる



そして私は臨也に向けて包丁を振り下ろした



「けど・・・。やっぱりまだ死にたくないね。これからのとの生活が台無しになっちゃうじゃない」



かわされた

私の背後に回って、そのまま私を床に突き倒した


私は背中で腕を掴まれているため、身動きがとれない状態だ

しかも背中にどっかり座っている


重たいし、痛い



「・・・どいてっ・・・!!!」

「それは無理だなぁ。そのまま襲われたら嫌だし。暫くこのままだね」



どいてよ

殺してやりたいのに




そっか


私が死んだらいいのか



運良く包丁を持った手は抑えられてないし

倒された衝動で手から離しちゃったけど、あの距離なら問題ない


手を伸ばして包丁を取った

刃先を、私の喉に向ける



「・・・?何してるの?」

「自殺すんの」



パァンッ・・・


私が答えたのと同時に、私の右手に走った鋭い痛み

カランッと音を立てて遠くへ飛んだ包丁


・・・なんで?

なんで止めるの?


私も、皆のとこへ行かせてよ

何もかも、なくなったこの世界から逃げたいの


自殺はだめ?

じゃあ臨也が殺して


皆を殺したみたいにさ



「・・・・なんで、自殺なんかするの?」

「それ、本気で聞いてるの?」

「折角これから二人の生活が始まるのにさ。どっちかが死んじゃっても台無しでしょ」



質問の答えになってない

それに、二人の生活なんてしないし



「自殺させようとしたのは臨也じゃん。止めないで」

「俺にそうさせたのは・・・・だろ?」



どういうこと?

私が臨也に家族や友達を殺させたってこと?


どうして?

そんなことした覚えなんかない


何言ってるの?



が俺に振り向かないからさ、最終手段ってわけ。裏でいろいろして、表ではキチンと俺が の面倒見るってことにしたんだよ。一応俺も被害者ってことで」





たったそれだけで


皆を

あれは、臨也がしつこいから嫌っていただけなのに


たったの、それだけで



「ッ・・・殺してやるっ!!!!」

には無理だね。俺を殺せやしない」

「黙れ!!ストーカーが!!」



座られてびくともしないけど、動ける範囲でもがいた

でも、すぐに体力がなくなって息切れした



「怒ったらいいよ。それで、の心が俺でいっぱいになればいい」

「誰が・・・!」

「自殺なんてしないで」



一瞬重みがなくなったかと思ったら、今度は首元に黒い袖の腕が絡み付いた

背中から伝わる、温かさ


ああ、後ろから抱きつかれてる

でも、なんで私は否定してないの?


優しい抱擁だから、騙されてる?

・・・あったかいって思うのはどうして・・・?



「こうしてまでも、に振り向いて欲しかった。俺を見て欲しかった」



・・・やめて



の家族や友達は殺してしまったけど・・・・は生きてる」



それ以上・・・言わないで・・・



「生きてるから怒れる。生きてるから泣ける。生きてるから愛せる。・・・愛したい」

「いや・・・やだ・・・」

「殺してしまった人達の分も、生きてよ。は生きてるんだから」



もう・・・無理

涙が、抑えきれない


止まらない

次々と溢れる涙


やっぱり、夢なんかじゃない

これは現実


認めたくなかっただけ

でも、皆死んじゃったんだ


本当に・・・

もう皆いない


憎い

殺したい


全てを奪ったアイツを

でも


感謝もしてる

やっと泣けた


やっと涙が出た

もう、いろいろな感情が混ざり合って、自分の本当の気持ちが分からないけど


ありがとう

上手く言えないけど



「うっ・・・ひっく・・・いつか・・・殺してやる・・・」

「いつか・・・ねぇ」

「それまで・・・待ってろ!私は、これからお前の背中についてく・・・いつでも殺してやる!!」




そう言ったあと、臨也が少し笑ったような気がした




















あとがき

いや、その、アレなんだ
息づく=呼吸をしているってことだからさ、生きてるってことを書きたかったんだ
でも上手く表現出来なかったんだごめん
しかも夢主がツンデレになっちゃったよ
最初普通だったのに途中から変わっちまったェ・・・



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