火傷したみたいに









むかしむかし、ある道を、とても大きな、金髪でガラの悪そうな男・・・平和島静雄が歩いていました

そこへ現れたのが、人々に死をもたらす死神・・・折原臨也です



折原臨也は平和島静雄の前に立ちはだかると、とても威張って言いました



「やぁシズちゃん。今日こそ死んでもらえるかなぁ・・・ああっー」



平和島静雄は折原臨也に気付かず、そのまま大きな足で踏みつぶしてしまいました

平和島静雄に踏みつぶされた折原臨也は、息も絶え絶えに言いました




「まったく・・・俺に気付かないなんて、シズちゃんも酷いなぁ。
 
 ・・・それにしても、このままだと俺死んじゃうよねぇ。もしそうなったら、もう世界中の誰もが死ななくなっちゃうねぇ。
 
 つまり世界が人間で溢れるってことだ。俺的にはいいんだけど、肝心の俺がいないし、シズちゃんも死なないってことだから・・・困ったな〜」



丁度そこへ、若くて元気な娘が通りかかりました




「あら!大丈夫ですか!!」




娘・・・ が死にかけの折原臨也を抱き起すと、持っていた薬を飲ませました

すると薬が効いたのか、折原臨也は元気を取り戻して に言いました




「いやぁ〜君のおかげで助かった。礼を言うよ。・・・ところで、君は誰を助けたのか知ってるのかな?」

「知りません。誰ですかアナタは」



は首を横に振りました

すると、折原臨也は自分の正体を明かしました





ちゃんだっけ。君にはほんとに感謝してるよ。このままじゃ世界は大変なことになるところだった。助けてくれた礼のかわりに、約束をひと つしてあげるよ」




ちゃんが死ぬというその時、俺がいきなり来たら嫌だよねぇ?だから、俺が行く前に使いの者を出してあげるよ」

「なるほど!臨也の使いが来ない間私は死なないというわけか!名案だわ」




折原臨也との約束に喜んだ は、その日からだらけた生活を送るようになりました

毎日食べるだけ食べて、運動もせずに寝てばかりです




なにしろ折原臨也の使いが来るまで死ぬことがないのですから、どんなに不健康な生活を送っても平気なのです





「まぁ・・・死神の使いが来てないから、これで死ぬことはないでしょ」




と、 は気にしません







そんな、ある日のこと



突然後ろから肩をたたかれた は、振り返ってびっくりしました

なんとそこには、あの時の折原臨也が立っていたのです





「さぁ、俺と一緒に来てもらうよ。この世とお別れの時が来たんだ」

「なんですって!?約束が違うじゃない!アンタの使いなんて一人も来なかったよ!使いが来るまで死なないんじゃないの!?」




すると折原臨也は、ニヤリと口角を上げて言いました




「送ったさ。何度も何度もね」

「嘘だ!!」

「俺は情報に関しては絶対に嘘をつかない主義だから。使いの例を挙げると・・・熱が行かなかった?鼻水が出て、咳が止まらなかったんじゃない?それに頭 痛、寒気、腹痛・・・とか」

「た・・・確かに来た。まさか・・・それが使いだったなんて・・・」

「使いに気付いて正しい生活をすれば、もっと長生きできたのにねぇ」



折原臨也は、口角を上げたまま愉快そうに笑いました















「・・・っていう話を今度の文化祭の劇でしてよ」

「待てよ。私死んでんじゃん。臨也に殺されてるじゃん。それにグ○ム童話でしょコレ。大体誰が書いたのこんなの?」

「俺だよ?こんなのって酷いなぁ」

「お前かよ。その前にこの話を文化祭の劇でやるってどーゆーことよ森羅?」





放課後の来神学園のある一つの教室で、一組の男女が椅子に向かい合わせに座って会話していた






「どーもこーもないけど?」

「文化祭でやるネタがないからってそれはないよ。あんまりだ」

「そう?結構いいと思うんだけど」

「どこがだよ。なんでバッドエンドの話を文化祭の劇でやるんだよ。明らかに間違ってるよいろいろと」




「とにかく、その台本みたいなの、臨也に見せたらダメだから。最初らへん除いたらやるって言いそうだから」

「へぇ〜俺が何をしそうだって?」

「げっ」





が森羅に注意している最中に一見不良っぽく見える臨也が来た

の背後に立ち、肩に手を乗せている



驚いて は立ち上がってしまった



「いいタイミングで来たね臨也。コレ見てよ」

「あっ!ダメだってば!!」

「何々?」

「ああー!!もう終わった・・・」





は椅子に座って机に突っ伏した

その時でさえ、臨也は の肩から手を離さない




「・・・なるほど。最初のシズちゃんに踏まれるっていうのは御免だけど、その他は認めるよ」

「なかなかいいでしょコレ。文化祭の劇でやってほしいんだけど」

「俺を踏むのがシズちゃんじゃなかったらいいんだけど。それ以前に俺を踏まなかったらいいけど」

「殺されるのが私じゃなかったらいいんだけど」

「まぁ臨也はなんとかして道端に倒れてたらいいよ」






「・・・私は?私の意見無視なの?」

「じゃあ詳しい台本書いてくるよ。また明日」

「おい聞けよ」




森羅は何故か嬉しそうにニコニコしながら帰って行った

の意見は最終的に聞かなかったが





「か・・・帰りやがった・・・!!」

「女の子がそんな口聞くもんじゃないよ

「何で私が臨也なんかに殺されなきゃいけないのさー!!!」

「いいじゃないか」





はいたって普通の女子だ

その女子が、今度は目の前にいる短ランで赤シャツを着ている男と抗議していた





「大体私が道端に倒れてる臨也を助けると思う?」

「あくまで劇だからやるだろ」

「あーあもし文化祭でその劇実行するなら私自殺する」

「俺がさせないよ。そんなこと」






これは悪い夢だ

いつか覚める夢だ



はこう思い始めていた

所謂現実逃避である





「俺は嬉しいよ? と共演できるなんて」

「私は嬉しくないですが」



「ほんとの事言っちゃいなよ。楽になるよ」

「ほんとの事言ってるつもりだから!!」




「頑固だね君も。俺はこんなに のこと愛してるのに」

「ぅっ・・・!耳元で喋る・・・な!!」

「おっと」




耳元で囁かれた は、思いっきり体を捻って、自分の肩に置かれていた臨也の手から逃げた

そしてその勢いで教室の入り口まで走った




「もしかして、耳が弱点なの?かわいいじゃない」

「そっ・・そんなわけ・・・」

「顔火傷したみたいに耳まで真っ赤だよ?かなり照れてるみたいだね」

「〜〜〜〜っ!!!」




は顔を真っ赤にして教室を出た

一人教室に残った臨也は呟いた





「やっぱりあーゆー人間には飽きないね。それどころか益々興味が湧いてくるよ」



クックッと喉を鳴らして笑いながら、臨也も教室を出た

















あとがきっぽいもの

来神学園時代の話
夢主は臨也・静雄・森羅と同級生
文化祭が近いらしい

元ネタ・・・というか前半の話はお察しの通りグリム童話から
知ってる人は知ってる「死神のおつかいたち」
知らない人は暇だったらggってください
実は管理人もggって読んだやつをほぼ写した←
それまでストーリー知らなかったもので←

夢主の役は本当は青年なんですよね
でもそれじゃあ夢にならないから、そこに夢主を当てはめました
無理やりです←

森羅が台本書いてるのは仕様です
シズちゃんが空気なのも仕様です

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