鈍感女王
「あー痛いなぁー」
ある程度の大きさの岩に腰かけている私は、そう言って仲間達へチラリと視線を送った
しかしこちらを向く気配はなく、全員私に背を向けたままだ
「くっそーやべぇなこれーいやホント治んのかなー」
後半は本音だった
私は自分の折れた左腕を軽く持ち上げて、またチラリと見る
安定の無視
その上誰も喋らない
「あーいってぇなー治りそうにねぇなーそれは困るなぁー」
チラリ
・・・・・・・・・・
「全員揃って無視かこの薄情者共め!!」
「って!!なんでオレに投げんだよ!!!」
「お前が一番近かったからだゴルァアアアアアア!!」
私は、私の目の前にいたレモネードの背に、近くに落ちていた石を投げつけた
何なの皆薄情すぎだろ
「テメェは痛覚がほとんどねーんだから関係ねーだろが!」
「女性に向かってテメェはねぇだろレモネード君」
確かに、私には痛覚といったものがほとんどないわけだが
「仲間が訴えてんのに全員無視ってどーゆーことなの!?生きた貯金箱にまで無視される屈辱がお前に分かるか!!?」
「あー分かんねーよ!分かりたくもねーよ!貴重な体験ができてよかったじゃねーか!!」
「何がよかっただ!!全然よくねーよ!見ろよこのひん曲がった腕!!90度くらい曲がってんぞ!哀れとは思わねーのか!!」
「いい加減にしなさい二人とも!」
げっ、マルゲリータが出てきた・・・・
・・・・逐一うるさいんだよなぁ・・・・
「
くんは少し自分の身体を労わりなさい。いくら痛覚がないからといってそこまですることないでしょう」
「私にやれって言ったのはどこのどいつだよ」
私が今回こんな大怪我をしたのは、簡単に言うと結構強いやつにちょっかい出したからだった
いやちょっかい出したのは私じゃない
ちょっかい出したのは他のやつら
それの尻拭いに私が出された
・・・・・そっからが間違ってんだよ!!
「大体だな!皆私のこの腕!一回は全員見ただろ!!なんで誰も手当というものをしてくれないんだよ!!」
「見てるこちらが痛いんですよ」
「はぁ?どーゆーこと?本人じゃないんだから痛くないっしょ」
てかこれ相当重症だよ
え。何コレ見えてる白いのって骨?骨なの?
しかもこの赤い柔らかいのって・・・・肉?
「・・・これ触るとぶにぶにしてる・・・触ってみてよ」
「こっち寄せてくんなっつの!!いてぇな!!」
「何痛い痛い言ってんだよ。気持ち悪いってこと?確かに気持ち悪いけどさーそれは認めるけどさー」
まず機械に痛覚はあるのか?
それになんで怪我してない人が痛がってんの?
「
ー早くその腕しまってほしいぞーい!いくらなんでもそれは痛いぞーい!」
「だから何で痛いんだよ」
「とにかく、レモネードくん。
くんの手当をしてあげなさい」
「はぁ?なんでオレさまがそんなこと!」
「なんで私の質問無視したんだよ」
「レモネードくんはこういったことに耐性があるようなので・・・頼みましたよ」
我々は先に行きますから、遅れないように
というとマルゲリータ達は行ってしまった
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
結局何も答えずに行きやがった
リーダーとしてそこんとこどうなのよ?
「まぁ後で聞くとしてだな、なんで痛がるんだよ?見るくらいなら痛くねーだろ」
「あ?なんつーか・・・口で説明すんのは難しいんだけどよ、まず痛覚がねぇ
には分かんねぇってことだ!」
「えーつまりさぁ、見てたら気持ち悪くなるとかそーいうやつー?」
「そう思うならそれでいいじゃねぇ?」
「絶対面倒臭いだけだろテメェ」
いやしかしこの腕をなんとかしないとだな・・・
足元には血の水たまりができている
・・・・出血多量で死ぬって聞くけどさ、まだ許容範囲だよな・・・?
「ったく・・・マルゲリータのやつ面倒くせぇこと押しつけやがって!!」
「まぁ落ち着きたまへ。そして早く手当を始めたまへ」
「それが人にもの頼む態度か!!!っくそ、腕出せ!」
「おっ、素直でいいな」
言われて腕を出すが、うん
何度見ても大丈夫じゃない気がするよ
だって90度曲がってるし、手のひらを上に向けてるつもりなのに左向くってなかなか見れないよね
骨見えてるし、肉?筋肉?が見えてるし・・・
あ、指動かない
・・・神経までイってる・・・・・・?
「・・・大丈夫だと思う?これは」
「知るか!手当する側になってみろ!」
「レモネードがいやなら自分で骨の向き戻すよ?」
ゴキゴキと鳴らして腕を真っ直ぐに近い形に戻す
その間にレモネードに変な視線送られたのは気にしない
「まぁ・・・・応急処置して病院行かないと・・・指動かないし」
「つっても今何も持ってねーし、どっか近くの町から取ってくらぁ」
「え、意外に親切じゃね今日のレモネード。何気持ち悪い」
「オレ先に行くからよ、手前の腕は手前で治せよ。じゃーな」
「嘘です。すいませんでした。腕治してくださいこの通り」
冗談というものが通じないのかこいつは
でも一応医療道具とかは持って来てくれるらしい
・・・・・いやホント意外
びっくりだわ
声に出さないけど正直驚いた
ちゃんと帰ってくることを祈ってだな・・・・私は待とうじゃないか・・・
数分後
「・・・・・・こんな腕でよく居眠りなんかできるな・・・・」
「んんー?・・・ハッ!寝てた」
「なんか失礼だろそれ!」
「気にすんな。気にしたら負けだ」
帰ってきたレモネードの手にはちゃんと医療道具が
偉いなお前・・・いやだっていつもあんな荒くれ者がだよ
「レモネードってさ・・・応急処置とかの手当ってヘッタクソだよな」
「してやってるくらい感謝しろ!」
「感謝してるさー?ありがとうー」
「・・・ムカつく言い方すんな」
「ひどい!これでもちゃんと言ってんだぞ!!」
ん?あれ?ちょっと・・・
包帯巻く力がだんだん強くなってきてない?
痛みとかないけどさ、手が鬱血してるっぽいもん
ちょっと色悪くなってきてるもん
「も、もちょっと緩く・・・包帯を・・・・」
「あ?聞こえねーな」
・・・・畜生
いーもん病院行って治してもらうもん
「ま!こんなもんだろ!だろ!?」
「え?・・あぁ・・・うん・・・あ・・・ありがと・・・・」
手当を終えると、レモネードは先に行ってしまった
しかし・・・ほんとに手当がヘタクソ・・・
今度誰かに教えて貰え!!
「おい何してんだ。行くぞ」
「は・・・?ああ・・・・」
てか・・・・
今から皆のとこに追いつくのか?
・・・・無理ダネー!
あとがき
BB7メンバーのとある一日
ヒロインがアイタタタな性格
レモネードは不器用だと信じたい
でも意外に器用でも許す