プライドなんて
「おっそいな〜タンタンメン」
カラスミ様に呼ばれて大分経つけど・・・
一体何やってんだろう。
「せっかくクッキー焼いたのに・・・」
早く戻って来ないかな〜
窓から身を乗り出して外を眺めていると、突然後ろから声がした。
「ん?どうしたんだ?」
「うぇああ!!」
「あっぶない!」
私は窓から落ちそうになったが、声を掛けてきた人物に抱き寄せられるようにして助かった。
が。勢い余ってすっごい声出してしまった。恥ずかしい
「ふう・・・怪我はないか?」
「フォンドヴォーか・・びっくりさせないでよ」
「あっはは!そりゃ悪かったな!で、何してたんだ?元気ないじゃないか」
「いや・・・べつn・・・」
ハッ・・・と気付いた。
(クッキー入れてた箱がない!!)
きっとびっくりした時に窓から落としたんだ・・
もうやってらんないわ!
「?どうした??」
「・・・・・で・・・」
「え??」
「アンタのせいでーーー!!!」
「わ、悪かったって!!」
「どーしてくれんのー!?」
「了解しました。カラスミ様。」
「では、もう下がれ。」
「はっ」
「次の王様だ〜れだ大会」は数日後・・
それまでに、王子様を見つけ出さなくては・・・
全てはカラスミ様の為に。
「うぇああ!!」
「あっぶない!」
ん?今のは・・・
ああ。彼女の声ですか。
ですが、悲鳴のような・・なんでしょう?
それに、男の声も聞こえましたが・・・
考えるより先に体が動いていた。
自分でも不思議なほど自然に。
何ですか?この気持ちは
私らしくないですね
そして、彼女がいるであろう部屋の前に立つ。
ドアが少し開いていて、そこから中の様子が見えた。
そこには、あのコウモリ男が彼女を後ろから抱き寄せている光景があった。
何かを言い合っているようだ。
・・・やっと分かりました。この気持ちが。
でも、本当に私らしくない。
この私が、あの男に嫉妬してるだなんて。