あたし達は今、おばあさんとのクイズによって教えて貰った道を歩いている

けど、一向にナビゲーターの家に着かない




「すっかり暗くなっちまったな。歩いて2時間だぁ〜?2時間なんて2時間前に過ぎちまったぞくそ」

「今日は歩いてばっかだな・・・。オレもいい加減休みたい・・・」



進んで行くと、見覚えのある看板が視界に入って来た



「また魔獣注意の看板だぜ。こんな調子本当にでオレ達会場まで着けるのかなァ」

「レオリオ、置いてくよー」

「お前・・・この中で一番年上だろ。だらしねーな」

「うるせーなー」

「!見えたぞ」




レオリオに向けていた顔を前に向けると、確かに一軒家がある

きっとアレがおばあさんの言っていたナビゲーターの家だろう




「1本杉の下の一軒家にすんでいる夫婦はナビゲーターをやってるんだ。彼らの眼鏡にかなえば、会場まで案内してくれるよ」






004:魔獣 凶狸弧








「や〜〜〜っと着いたぜ」

「あ〜っ・・・つっかれた〜・・・・」




あたしは思いっきり伸びをした

体中の関節がパキパキと鳴った





「静かだな。我々以外に受験者は来ていないのか?」




言われてみれば静かだ

本当に、あたし達以外来てないのかな?

どこかで休んでるのかな





コンコン





レオリオが家のドアをノックした

でも、返事はない



いけないと分かっていたけど、あたし達は勝手に家に上がらせてもらうことにした

何より、一刻も早く休みたいという思いが強いんだな・・・





「入るぜー」

「な・・!!」





扉を開けて飛び込んできた映像は、一組の男女と、





「キルキルキルキルキルキル・・・・」

「魔獣!!!」





あたし達は一斉に武器を構えた

女性は、魔獣・凶狸弧の腕に抑えられ、男性は怪我をしている



すると突然、凶狸弧がこちらに向かって飛んできた




「うっわっ・・・・・!!」




ギリギリのところで避けたけど、窓を破って逃げられた

追いかけようとした直後、クラピカに止められた





「なっ・・・!!」

「アレは私とゴンで追う! とレオリオは怪我人を頼む!!」

「任せろ!」

「・・!あ、ああ!分かった!!」






そう言うと、二人は逃げた凶狸弧を追いかけて行った

魔獣も、さっきの奴だけとは限らない




他にもいるはずだ・・・そう考えると、あたしはここにいた方がいい

もし他の魔獣が襲って来たとしても、レオリオが治療して、あたしが相手をすればいい




!手当するから手伝ってくれ!」

「もちろんだ!何をすればいいんだ?」

「まずは傷口の消毒だ。消毒液とガーゼでやっててくれ。オレはその間に薬を用意する」」

「分かった」




そして、手渡された消毒液とガーゼで消毒を始めた

時折、男の「うっ」という呻き声が聞こえた



その度に「消毒してるんだ。我慢してくれ・・・」と言う



・・・・そういえば、レオリオはどうしてこんな医療道具を持ち運びしているんだろう

消毒液やガーゼはともかく・・・



レオリオの鞄の中には様々な医療道具が入っているのをみて、あたしは疑問に思った




「レ・・・」

「くそっ!こんな時に・・・」

「ど、どうしたんだ?」



質問しようとしたら、レオリオと重なった

何があったんだろう




「薬を作るための薬草が足りねーんだ」

「え!?薬ってそこから!?てかどうすんだよ!!」

「でも待て。ここの近くに水辺があればなんとかなる・・・水辺に咲く花なんだ」

「花・・・?とにかく、水辺があればいいんだよな?じゃあオレが採って来るよ」




水辺なら、たしか見た・・・と思う

曖昧だけど・・・行ってみなきゃ分からない




「だけどよ、お前花がどんなのか知らねぇだろ。オレが探して来るから、コイツのこと診ててくれ」

「でももしレオリオが行ってる間に何か症状が出たら、オレはどう対処すればいいか分からねぇよ・・・だから、オレが行く!」

「・・・じゃあ頼んだぜ」

「任せろ!花の特徴を詳しく教えてくれ」




特徴を教えてもらったあたしは、大きな籠を背負って家を出た




「とりあえず、周りを探してみよう」



あたしは、家の周りから探すことにした




















「どうしよう・・・水辺なんて全然見当たらない・・・」



暫く歩いて探してみたものの、収穫はゼロだった

あまり悠長にはしてられないのは分かってるけど、全く見当たらない




「あれ・・・?アレってもしかしたらクラピカ・・・?」




やっぱりそうだ

女の人を無事助けたらしい



聞いてみようかな・・・

近くに水辺があるかどうか・・・




「クラピカ!」

「! じゃないか!怪我人は?」

「レオリオが診てる。今、治療の為の薬を作る薬草が足りなくて探してるんだけど、見つからなくてさ・・・クラピカ、この辺りで水辺を見なかった?」

「水辺なら、向こうに・・・」

「あ、ありがとう!アンタの旦那さんは絶対に助けてやるから、心配するなよ!!」




凶狸弧に捕まっていた女性が答えた

そして、あたしは教えられた道を進んだ













「あ・・・あった・・・」




水辺に着いたあたしは、レオリオに言われた通りの花を見つけて、背負っている籠の中に入れた

なるだけ沢山持って行った方がいいよね




その時、背後に気配を感じて振り返った




「誰だ!!」

「私だよ。

「・・・クラピカ?」



なんでいるの?

女の人は?



一人だといろんな意味で心配でな。あの女性なら、凶狸弧に見つからないような場所に隠してきた」

「・・・そうか」



この人は・・・クラピカじゃない

クラピカは、どんなにあたしが心配でも怪我してる人を置いてくるような人じゃない



・・・これは・・・凶狸弧

あたしは凶狸弧に近付いてから、懐にしまっていた剣で思いっきり顔を殴った



「なっ・・・!!」

「お前、誰だ?オレの仲間じゃないな」

「何故・・・分かった!」

「決まってる。クラピカなら、お前がしたことを絶対にしないからな」



そう言ってやると、凶狸弧は悔しそうに唸って消えてしまった



「ハッ!早く薬を持って帰らなきゃな・・・!」



あたしは、いそいで薬草を籠へと入れて元来た道を帰った







「ふーむ」

「何年振りかねぇ。うちら夫婦を見分けた人間は」

「嬉しいねぇ」




まさかもう全て終わっていたなんて

あたしの努力って一体・・・




「声と顔の違い・・・分かるか?」

「いや・・・全く」

「全っ然分かんね・・・」


こんなの分かるハズがないでしょ・・・



「ちなみに、オレとクラピカに殴られたほうがダンナさんだよ」

「だからそれはどっちだ」



じゃああたしが殴っちゃった方が奥さんってこと・・・・!?

・・・本気で殴っちゃったよ・・・・


「さて・・・もう君ら察しのとおり、我々夫婦がナビゲーターだ」

「娘です」

「息子です」



か・・・家族だったの・・・



「このイレズミは古代スミ族の女性が神の妻となり、生涯独身を通すことを誓って彫るもの。古代史に長けていないと、まず判読不可能」

「博学をもってヒントを見逃さず、見事私達二人が夫婦でないことを見破ったクラピカ殿」



「レオリオ殿は結局最後まで私の正体に気付かなかった。しかし傷の応急処置は医者以上に早くて適確。そしてなにより」

「妻の身を案じる演技をしていた私に対し、ずっと力強い励ましの言葉をかけ続けてくれた」



「クラピカ殿に化けた私に騙されなかった 殿。二人の深い絆がないと乗り越えられなかっただろう」



「そしてとてつもなく人間離れした運動能力、観察力を持つゴン殿」



「合格だ。会場まで君達4人を案内しよう」


・・・・

・・・・・・やった!合格した!!



あたし達は互いに拳をコツンと当てて、凶狸弧の足へつかまった

いよいよ試験会場に着くんだ・・・!











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