003:進む道先にあるものは クラピカ視点
結局、私とレオリオの喧嘩はゴンの仲裁によって治まり、それに続くように、嵐だった空が晴れてきた
それにしてもゴンのやつ・・・あの大渦の中によく飛び込もうとしたな
人魚でも溺れると言われる大渦だというのに・・
まったく、無茶するやつだ
結果、そのお蔭で全員無事なんだがな
それに、あの船長から有力な情報も得ることが出来たし、結果オーライというわけか
「一体いつになったら着くんだぁ?1本杉によぉ・・・」
「なんでバスで来なかったんだよ。どーせトラップだったんだろうけど」
「ちっ・・ちげーよ!お前ら3人だけじゃ寂しいだろうと思ったんだよ!ったく・・・考えすぎだって
は」
「あんなバレバレのトラップに引っかかるほうがおかしいと思うが」
「だろ!?さすがクラピカ!」
「兄弟揃って生意気な・・・いつか覚えてろよお前ら」
「あれぐらいのトラップに引っかかりそうになった奴にオレ達が負けるはずないって!」
「同感だな」
「オレも
に同感!」
「てめぇら・・・!揃いも揃って・・・ってゴン!お前まで何言ってんだ!急に入ってくるなりひでーな!」
「あれ?向こうに町みたいなのが見えるじゃん!行こう!」
「そうだな。何か話が聞けるかもしれん」
「よしっ!行こう!レオリオー置いてくよー!」
「人の話を聞けぇええええ!!」
後ろからレオリオが追いかけてくる気配がする・・・
なんて単純なヤツだ
だが、久々に
の楽しそうな顔を見たな
ここ最近ずっとハンター試験に備えて修行ばかりしていたからな
私も
も、こんなに自由な時間は久しぶりだ
もしかすると・・・・こう思ってる私自身も・・・
「おーい!2人ともー!早く行こうぜー!!」
両腕を大きく振りながらこちらを向く
・・・・まるで子供じゃないか
*
「うすっ気味悪いところだな。人っ子一人見当たらねーぜ」
私たちはある町に着いた
「でも・・・人いっぱいいるよね」
「うむ。油断するな」
「人数も・・・そんなに多くはないが、少なくもない」
「な・・・何でわかんだよそんなこと・・・」
「息づかいがそこら中から聞こえてくるじゃないか」
「うん。衣ずれの音もするし・・・隠れてるつもりかな」
「敵かもな。・・・気を付けた方がいいぞ」
どうやら、レオリオだけ聞こえてないらしい
そんな顔をしてるといつ狙われるかわからんぞ
「ふ、ふん。あいにくオレは普通の人間なんでな」
「しっ」
・・・何だ?
急に気配が・・・
「!!」
「シュー・・・・」
「シュー・・・・」
成程・・・息づかいの音がやけに聞こえたのはあのマスクのせいか・・・
だが・・何だこいつらは・・・
危害を加える気はなさそうだが・・・
「ドキドキ・・・」
・・・・・・・・・・
「ドキドキ2択クイ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ズ!!」
・・・・・・・・・・・・・・
「パチパチパチ・・・」
な・・・・何なんだ・・・
「お前達・・・あに1本杉を目指してんだろ?あそこにはこの町を抜けないと絶対に行けないよ。他からの山道は迷路みたいになってる上に、凶暴な魔獣のナワ
バリだからね」
「これから1問だけクイズを出題する。考える時間は5秒間だけ」
「もし間違えたら即失格。今年のハンター資格取得は諦めな」
「む」
「成程。これもハンター試験の関門の1つか」
「クイズが・・・ねぇ」
「
、クイズだからといって油断は禁物だ」
「分かってるって」
・・・本当に分かっているのだろうか?
ある意味心配だ・・・
「@かAで答えること!!それ以外の曖昧な返事は全て間違いとみなす」
「おい、ちょっと待てよ。この4人で1問ってことか?」
「らしいぞ」
「もしコイツやアイツが間違えたらオレまで失格ってことだろ!?」
「あり得ないね。むしろ逆の可能性があまりに高くて泣きたくなるよ」
「クラピカはまだいいよ。オレなんかもう半泣きだ」
くっ・・この・・!!
離せレオリオ!
間違ったことは言っていないぞ!!
「でも4人のうち1人が答えを知ってればいいんだから楽だよ」
「む。確かにそーだけどよ」
「おいおい早くしてくれよ。何ならオレが先に答えるぜ」
急に後ろから声がした
コイツは・・・ずっと付いてきてたのか
「へへへ・・・。悪いなボウズ。港でちょっと立ち聞きしちまってな」
「何を?」
「船長との話をだよ」
あの時か
ゴンも呑気なやつだ・・・
「どうするかね?」
(譲ろうぜ・・・それで問題の傾向も分かるしな)
確かに
今はそれが得策だな
「お先に」
「それでは問題」
「お前の母親と恋人が悪党に捕まり、1人しか助けられない。@母親、A恋人。どちらを助ける?」
「!?」
まさか・・・本気か?
こんな問題に万人共通の答えなどないではないか!!
老婆の好みの答えを予想しろとでもいうのか?
「・・・・@!!」
「何故そう思う」
「そりゃ〜〜母親はこの世でたった1人だぜ。恋人はまた見つけりゃあいい」
「ボソボソ・・・」
「通りな」
「・・・・・・」
どういうことだ・・・
何か裏があるのか・・・!?
「ふざけんじゃねェッ!!こんなクイズがあるかボケェ!!」
「ああ!オレもレオリオに同感だ!!」
「こんな問題人によって答えは違うし、『正解』なんて言葉でくくれるもんでもねー!!」
「ここの審査員も合格者も全部・・・!!」
・・・?
急にどうしたんだユリは・・・
もしかしたら、何か気付いたのか・・・?
「!!」
今の声は・・・!!
「「レオリオ!!」」
「何だよ!!まさかこんなふざけたクイズ続けろってのか」
「違うレオリオ!!これは・・・このクイズは・・・!!」
「待ちな!これ以上のおしゃべりは許さないよ」
「ここからは余計な発言をしたら即失格とする!!さあ答えな@クイズを受ける、A受けない」
「@だ!!」
くそっ・・・
レオリオ!気付け!簡単なトリックなんだ!!
ゴン!お前にも聞こえたはず!
ならばこのクイズのからくりに気付くんだ!!
そうか・・・!
は、このことに真っ先に気付いたのか!
「それじゃ問題だ」
「息子と娘が誘拐された。1人しか取り戻せない。@娘、A息子。どちらを取り戻す?」
レオリオ!自分のさっきの発言を思い出せ!
それが答えなんだ!!
「5」
「4」
「3」
「2」
「1」
「ぶーーー終〜〜〜〜了〜〜〜〜〜」
ギィン!!という音が響いた
レオリオが老婆を殺そうとしたがなんとか間に合ったようだ
「なぜ止める」
「落ち着けレオリオ!」
「いーや激昂するね。手土産にこのババァの素っ首持って会場へ乗り込むぜ」
「待て!一回落ち着け・・・!!」
「なんで
もクラピカもゴンも落ち着いていられんだよ!オレはスカした審査員共を全員ぶっとばして説教してやる!ハンター!?くそくらえだこんな
腐れた商売はなくしちまった方が世のためだ」
がレオリオを後ろから抑えている
やはり男と女では力の差があるか・・・
抑え切れていないが、それは仕方がない
早くレオリオを納得させなければ・・・!
「せっかくの合格を棒に振る気か?」
「!?何?」
「ふぅ・・・我々は正解したんだよレオリオ」
「沈黙!それが正しい答えなんだ」
疑っているな・・・
まあ仕方がない
「いみじくもキミが言っただろう。『正解なんて言葉ではくくれない』と。その通り、このクイズに正解なんて存在しない!!しかし回答は@かAでしか答えら
れないルールだ」
「オレはそのレオリオの言葉でハッとしたんだ。・・・つまり、答えられない。沈黙しかないんだ」
「しかしさっきの野郎は・・・」
「正解とは言ってない。通れと言っただけだ」
「さっき、そいつの叫び声が聞こえたんだ。多分、魔獣に襲われたんだと思うぜ」
「つまり、この道は正しい道じゃないのさ」
「・・・・・・・」
「その通り」
唖然とした顔だな
きっと今頭の中で整理しているんだろう
「本当の道はこっちだよ。1本道だ。2時間も歩けば頂上に着く」
「・・・・・。バァサン・・・すまなかったな・・・」
「オレも・・・トリックに気付いたとはいえ、怒ったりして悪かった・・・」
「何をあやまることがある。お前さん達みたいな奴に会いたくてやってる仕事さ。頑張っていいハンターになりな」
「「ああ・・・」」
・・・とりあえず解決したか
「ふぅ〜〜だめだ!!どうしても答えが出ないや」
・・・・・・・・ゴン?
まさかまだ考えていたのか?
ふふ・・・まさかな
「何だよ。まだ考えてたのかよ。もう考えなくていいんだぜ」
「え?何で?」
「何でって・・・もうクイズは終わったんだぜ」
「それは分かってるよ」
「じゃあゴンは何で考えてるんだよ?」
「だってさ、もし本当に大切な2人の内1人しかたすけられない場面に出会ったら・・・」
「どうする?」
もし、先程のクイズと同じ場面に会ったら・・・
もし、
が幻影旅団に捕まったら・・・
「どちらを選んでも本当の正解じゃないけど、どちらか必ず選ばなくちゃならない時・・・・いつか来るかもしれないんだ」
もしそうなったら
私はどうする?
もちろん取り戻せるなら取り戻す
だが、そう簡単にはいくわけがない
以前もしもの話で
と話したが
・・・そうだ。私たちはレオリオやゴンと違って、そういう場面に出会いやすいんだ。
・・・もしも本当にそうなったら
私は1族の仇と
と、どちらを選ぶだろうか
それに、もし逆の場合があったとして私が旅団に捕まったら・・・
はどうするのだろうか
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