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003:再会を信じて
「え!!?この船出でもうこの村には帰らないの!?」
その日は、村の港へ村人のほとんどが集まっていた。
今まで村に停泊していたシャンクス達を見送るために。
シャンクス達は、この船出で拠点を変えるらしい。
「おいおい泣くなよ。そんなんじゃ海賊にはなれないぜ?」
いつの間にかミラの目は涙で潤んでいた。
「海賊になれたらまた会えるさ。……そうだ。」
シャンクスは何か思い出したように、顔を上げた。
そして近くにいた、船出の準備に忙しく働いている部下の一人を呼び止めた。
「オイ、おれのアレ取ってこい。」
「アレ・・・?ああ、いいのか?お頭。」
「いいんだよ。」
「?」
会話している二人を黙って交互に見ていたが、シャンクスは微笑んでいた。
「オレのある物を預けるからな。」
「預ける……」
「だから、いつかきっと返しに来いよ。」
「返しに……?」
「前に何度も話した、ゴム人間の奴にも同じことをしたもんだ。」
シャンクスは無邪気に笑っていた。
その直後に先程の部下が戻ってきた。
「これでいいんだよな?」
「ああ、ありがとう。呼び止めて悪かったな。仕事に戻ってくれ。」
「おう。」
部下はシャンクスに真っ黒い布を渡すと、船の方へ駆けて行った。
そしてシャンクスは渡された布を広げると、それをミラの肩にかけた。
「え?え!?」
それはシャンクスが着ている黒いマントと同じ物だった。
違う箇所といえば、今ミラの肩にかかっている方にはフードが付いている、というぐらいだった。
「おれのマントさ。こんなもんしかねぇけどな。」
「あ…………」
溜めていた涙がついにこぼれた。
「絶対に・・・・返しに行く!!」
「ああ・・・待ってるよ。」
「じゃあ・・会える日を楽しみにしてたらいいよね!」
「そうだな。オレも楽しみにしてるさ。」
そして出発―――
ミラは、海賊船が見えなくなるまで手を振り続けた。
もう、その目に涙はない。
そして船内では――――
シャンクスは、見えなくなった村の方角をずっと見ていた。
そしてヤソップやルゥがからかう様に声をかけた。
「お頭ァ!!どうしたんだよっ!ミラのことが気になるってか!ハッハッハッ!!」
「なっ…!!そんなわけないだろ!!」
「照れなくていいんだぜぇお頭!」
「耳まで真っ赤じゃねぇか!」
「うるせーな!!」
次から次へクルーがシャンクスのもとへ集まって自分たちの船長を、からかうように言葉を浴びせた。
そしてその船長はテキトーな反論をして自室へと入っていった。
それを見たクルー達は一斉に笑い出した。
「お頭、他の女にだってあんな反応したことねぇのにな!」
「ああ。ミラが本当にかわいいからじゃねぇの?」
「すっげェ可愛がってたし、あいつもあいつで懐いてたしな!」
「アイツは大きくなったら美人になるぜ。」
「ミラとお頭が一緒にいると親子みてぇに見えるよな」
「知らねぇ奴が見たら絶対親子にしか見えねぇって!」
彼らはシャンクスの部屋にその声が届いてることも知らずに、いつまでも話していた。
当然、シャンクスは暫く部屋から出てこなかった。
静かにその様子を見ていたベンは、小さな溜め息を一つついた。
「絶対に返しに来いよ……」
シャンクスは、船長室で静かに呟いた。
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