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003.優しさの裏側
なんとかカッチーニの目からは逃げられた
あとはこのまま本部に向かって行くだけだ
・・・ちょっと遠いけど・・・
「オズ・・・・・・大きくなって私を乗せて飛ぶとか・・・」
「出来ないからな。自分で歩け」
・・・分かってるよ
そんな・・・はっきり言わなくても・・・
「あれ、レィシア?」
ん?
今誰かに呼ばれたような気が・・・
「やっぱりレィシアじゃないか。なんでこんなところにいるの」
「アっアンディ!?」
意外な人物に遭遇した!
呼んだのはアンディだったのか!!
「私は今、本部に向かってる最中だよ。ていうか、アンディこそなんで・・・馬車に乗ってるんだ・・・」
私が今乗り物に乗りたいという思いを知ってのことか・・・
いつのまにエスパーなんてものを・・・
「そうなの?ボクも本部に向かってるところだけど・・・」
「なんだ?知り合いか?」
私とアンディが話していると、運転手が馬車を停めて話しかけてきた
「知り合い・・・まぁそうだね」
「そうか。話してるのを聞く限り、ビジネス仲間ってとこか?」
「そんな感じ」
「じゃあ、お嬢ちゃんも乗ってくかい?」
「えっいいんですか!?」
「ついでだからね。いいよ、くれぐれも荷物は傷つけないようにな」
「はい!」
やった得した!!
まさかこんな所でこんな事が・・・!
なんかついてる!!
私は馬車に乗り込んでアンディの隣に座った
そして、運転手のおじさんから“鮮血の五日間”の話を聞いた
「ま、何はともあれ15年前みたいなことが起きなきゃいいが」
「15年前?」
「って・・・カストル・アルテの・・・?」
「そうそう。別名“鮮血の五日間”」
電話でカルロと話していた“鮮血の五日間”
やっぱり、相当な抗争だったのだろう
「スキャッグス一家とカッチーニ一家の間で起こり・・・この国全体を巻き込んだ、史上最悪のマフィア抗争さ」
史上最悪・・・
今でも、その爪痕は残っているらしい
「いやあ、あの時は大変だった。君達ぐらいの歳じゃ知らないか?あのスキャッグス一家のことを」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
少しの沈黙
少し気まずい
そう思ってるのは、私だけだと思うけど
いつかは言わなきゃ
でも、なんだろう、気持ちが変だ
今更、言うのが怖いの?
確かに、打ち明ければ「今更何を」となると思う
けれど、いつまでも正体を隠しているわけにはいかない
私は、私も
アンディと同じ
リバースナンバーということ
知っているのは、カルロやモニカ、あと本部にいる数人と・・・
私がRRになった時にいた人たちは大体知ってる
だけど、執行人はほとんど知らない
三番目くらいだと思う
私が言わないから、皆も黙っててくれてるけど
言わなきゃ
「・・・・・・カッチーニは何も分かっていない」
「!」
「『武器とは平等を作るもの』だと“彼”は言っていた」
・・・・・・彼・・・?
「非力な女も無力な子供も、武器一つで乱暴な男共と渡り合えるようになる」
・・・・・・嫌な雰囲気
それに、言っていることが・・・まるで・・・
「権力を持つ政府と、圧政に苦しむ市民の差を埋めるもの」
「おい・・・・・・アンディ」
「ちょっとこれって・・・」
「・・・・・・だな」
「武器とは、世界を平等に導くものだ」
チャカ・・・と銃を構える音がする
銃口をこちらに向けて、おじさんは無機質な表情で私達を見ていた
「そう・・・俺達は。崇高な目的で研究をしていた」
バン、と、銃声が響いた
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